「バッグ」カテゴリーアーカイブ

最新のランウェイからセレブが実際に愛用しているバッグまで、2024年に注目のコレクションをご紹介。

2020年春夏NYコレハイライト Vol.1  「ケイト・スペード」「ヘルムート ラング」

2020年春夏ニューヨーク・ファッション・ウイークは、9月4日に開幕。初日は中国勢が中心で、実質的なスタートは6日の夕方以降となった。

ここでは6、7日のトップブランドを2つピックアップ!!

会場は、土曜の太陽光がふんだんに降り注ぐ、マンハッタン・ノリータ地区のピースフルな庭園。コレクションも、全てが優しく穏やかだ。ハンカチーフのような純白のコットンポプリン、総レース、ボタニカルモチーフをプリントしたシャツドレスは、いつも以上にリラックスしたシルエットでストレスフリー。パフスリーブのブラウスに重ねたクロシェ編みのドレス、スキッパーポロタイプのリブ編みボーダーニットは、ブランドらしいキッチュと、ニコラ・グラスのレトロテイストの合作だ。シルバーを編み込んだサマーツイードのジャケットも、カーディガンのように羽織る感覚。肌寒い日の公園のお散歩にピッタリのトレンチコートやキルティングコートは、コットンギャバジンではなく、タフタやビスコースで柔らかく仕上げた。

バッグは、定番ショルダーの素材をカゴに変換したクロスボディや、スペードを組み合わせて作った花柄が鮮やかな大容量トートなど。年齢、性的指向、体型を問わず、モデルに混じって親子や同性愛カップルを含む一般人が現れるインクルーシブ演出も心に染み入る。

デザイナーが代わって2シーズン目。引き続き、過去の迷走で揺らいだアイデンティティーを、再び強固なものにしようと原点に回帰する。ピュアホワイトからネオンまでのさまざまな色、パラシュートナイロンから大理石プリントをのせたシルバーレザーなど、さまざま素材。多様な色と素材で生み出したのは、クロップド丈のブルゾンやGジャンにスキニーパンツやシンプルなドレス主軸とするストイックでミニマル、シャープなスタイルだ。

スタイルとシルエットは頑な。色と素材のバリエーションで魅せる。90年代の「ヘルムート ラング」の記憶が蘇る。次回はいよいよ、そこからの前進を期待したい。

ゆうこすが明かすSNSの極意、バズる秘けつは“タグ映え”だ

180411_yukosu_10.webp簡単にアプリが制作できるサービス「ヤプリ(Yappli)」を提供するヤプリが12日、ECやアプリの現状を伝える業界向けのイベント「MOBILE MARKETING UPDATE」を開催し、基調講演としてSNSで話題のゆうこす(菅本裕子)が登壇した。

元HKT48のアイドルで、現在“モテクリエイター”という肩書きで活躍するゆうこすだが、モデルとしてだけでなくブランドとコラボした商品作りや商品の買い付けとライブ販売など、いわゆる“インフルエンサー”としてビジネスを成功させた先駆者ともいえる。しかし、成功の裏にはHKT48卒業後に個人で全く売れない“ニート時代”を経験したという背景があるという。「卒業後、とはいえアイドルなんだから個人になってもファンが来てくれるだろうと甘く考えていたんですが、初の個人イベントにお客さんが3人しか来ないという事件がありまして……(笑)。そこで初めて『これはまずい』と気付きました」と当時を振り返る。こうした経験からSNSを駆使して2016年8月に起業、自らのプロデュースを始めたという。

ゆうこすはSNSで成功した秘けつを一言で「共感」だという。「私は個人になっても当初グラビアで売り出すなど、典型的な“男性向け商材”でした。でも、これでは消費されるだけで、拡散されてファンを増やすことはできないと気付きました。そして、拡散されるためには共感がなければいけません。誰に共感してもらえるかを考えた時に“ぶりっ子したいけど周りの目があってできない人”だと考え、彼女らに向けて発信していくことに決めました」と話す。方向性を見つけて約2年、現在のインスタグラムのフォロワーは78%が女性、ユーチューブにいたっては97%が女性というから驚きだ。

講演では、そんな彼女が経験をもとに見つけた“共感される発信”を実現する以下の4つのキーワードを公開した。

「情報があるからこそ、フォローにつながります。ファンでなくても見たい投稿かどうか。私は投稿ごとに平均2000文字くらいのテキストをつけますが、見る意味があるからこそ共感してもらえるんだと思います」

「アニメ『ポプテピピック』がこれほどバズったのは、めちゃくちゃニッチなアニメのパロディーをやっているからです。作中でなんの説明もない分、一部のマニアが何のパロディーなのかをSNSで勝手に拡散し、有名になりました」

「最近ではタニタやシャープのツイッターアカウントの“中の人”が話題ですが、企業でも芸能人でも、そこにいるのは人間なんだよということをアピールします。一部の人から炎上した時に『芸能人なのに落ち込むの?』ということを言われて驚きましたが、“人間味”をアピールすることで応援したくなる場づくりができるはずです」

「新しい事業を思いついても、『自分がやる意味はあるのか』ということを考えます。私は自分で芸能事務所を立ち上げましたが、これもアイドルを経て挫折があったからこそできた事業だと思います。たとえば「ベイク(BAKE)」の自社メディア「ザ・ベイク・マガジン(THE BAKE MAGAZINE)」では社長の失敗談まで載っていて、こうした話があると共感力も最大限になって、応援につながります」

こうした取り組みを通じて、ゆうこすは“共感されるネットビジネス”を実現した。旅先で見つけた商品をライブ販売する「タビジョン(TaVision)」では、一晩で100万円の商品が売れ、オリジナルコスメは20分で500個が完売するほどの勢いだ。「芸能人だから売れるんじゃないかと言われますが、決してそうじゃない。“買ってどれだけメリットがあるか”“ストーリー性があるか”“リアルタイムかどうか”ということを意識して、販売をすることが成功の秘けつなんです」と強調する。ネット販売で同様にビジネスを成功させた例として、自身でブランドを立ち上げたハヤカワ五味を挙げ、「彼女の投稿には一見ダサく見えるような文字がたくさんありますが、これがあることで気軽にリツイートできるんです。オシャレな画像だけだとリツイートする時にファンに説明してもらわなくてはいけません」と、彼女なりのノウハウを明かした。

最後に“本当は教えたくない写真のバズらせ方”についても言及。「みなさん『タグる』という言葉をご存知ですか。ハッシュタグで検索することです。今の若い子たちはなんでもハッシュタグで物事を調べていて、例えばバイト先にどんなお客さんが来るかも調べるし、旅行先の天気だってタグで検索します。だから写真を投稿する前に、『誰に見てほしくて、彼女らはどんなハッシュタグを調べそうか』ということを考えて、そのタグに合った写真を撮影します。その際に重要なのは『同じハッシュタグの一覧の中でいかに目立つ写真か』ということ。写真が良いことはもちろんですが、これからは“インスタ映え”ではなくて“タグ映え”するかどうかです」と強調。会場にいるアパレル関係者からは感嘆の声がもれ、大盛況の中で基調講演を終えた。

ベラ&ジジの担当メイクアップアーティストが教える“インスタ映え”メイク

アメリカの人気メイクアップアーティスト、パトリック・タ(Patrick Ta)が、「ニックス プロフェッショナル メイクアップ(NYX Professional Makeup)」のファンやユーチューバーを招き、都内で開いたメイクアップ講座マスタークラスにゲスト講師として登場した。

optimize.webp (9)パトリックが日頃担当するのはリアーナ(Rihanna)、キム・カーダシアン(Kim Kardashian)、アリアナ・グランデ(Ariana Grande)、ジジ・ハディッド(Gigi Hadid)などセレブリティばかり。最近では今年のメットガラ(MET GALA)や、キム・ジョーンズ(Kim Jones)の新生「ディオール(DIOR)」にゲスト登場したベラ・ハディッド(Bella Hadid)のメイクアップも担当した。インスタグラムでは100万フォロワーを持つ世界的にも有名なアーティストだ。

そんなパトリックが今回、ブランドの商品を使用してデモンストレーションを披露。メイクアップのテクニックを伝授するとともに、ファンからの質問にも答えた。

optimize.webp (8)艶感のあるサマールックで、ハリウッドセレブにも施すようなメイク。今日のモデルは髪がピンクなので、メイクも同系色で統した。この間はベラ・ハディッドが黄色の服を着ていたから、アイメイクも黄色にしたよ。

今日のメイクは濃い色からのせているが、いつもその手順?

今日のカラーはピーチなので濃い色からのせているが、スモーキーな色の時は薄い色からのせてグラデーションにしている。アリアナ・グランデとか多くのクライアントはグラデーションにしたカラーが好き。

色をきれいにブレンドするには?

カラーのブレンドは車のワイパーのようにブラシでこするんだ。平筆で色をのせてから、ブレンディングする時はブラシにはアイシャドウをあまりつけずに、本当に混ぜるだけ。

海外はアーチ眉が多いが、パトリックは平たい眉を描いている。眉のこだわりはある?

アーチ眉にすると、顔が下がったイメージになってしまうのでストレートで描いている。描く時は眉の真ん中からスタートして、外側にグラデーションにしていく。ブラシを縦にしてスタンプするように色をのせると、やりすぎ感がない。

パトリックの使う色は日本人があまり使わない色が多い。派手な色を使いこなすには?

普段使わない色を使う時は仕上がりをイメージして、アイメイクとリップの色をマッチするようにすると使いやすい。もっと色を濃くしたいという時は、ブラシに直接セッティングスプレーをかけるといい。

コントゥアリングのコツは?

濃いコントゥアリングは好きじゃない。ハイライトは使いすぎると骨格が目立ちすぎてよくないので、顔の平たい部分に使うといいよ。

チークはどういれる?

スワイプでのせる人が多いけど、それだとファンデーションがよれてしまうからスタンプを押すようにつける。

メイクアップの中で、得意なものは何?

僕が得意なのはベースメイクだね。ブレンドするのがとても得意。あとは濃いリップやカラーアイテムが好き。

好きなメイクパーツは?

リップが好き。

グロスやマットなど、どんなリップが好み?

僕はマットリップが好きだね。ただ、最近リアーナを担当するようになったんだけど、彼女はグロスが好きなんだ。彼女のためならグロスを好きになるように頑張るよ。

アメリカの現在のトレンドは?

ピーチ系カラーのアイメイクがはやっている。今日はアーモンド形に塗って、最後にキャットアイのように目尻を伸ばして目を大きく見せている。

セレブにメイクする時のポイントは?

レッドカーペットではメタリック系のキラキラはあまり入れず、マットな仕上がりにしている。スチールやテレビの撮影だと艶感のあるメイクやラメも使うけど、パパラッチされる時はラメはあまり映らない。

これから流行しそうだと思っているメイクアップトレンドは?

その質問はよく受けるけど、正直わからないな(笑)。インスタグラムからインスピレーションを得たり、フィーリングでいろいろなメイクをしているよ。

遠くへの出張が多いそうだが、渡航先でもきれいでいるコツは?

おすすめなのは、機内でフェイスマスクをつけてそのまま寝ること。機内は乾燥で肌がパサパサになるから、見た目はよくないけど濡らして寝るんだ。あとは出張先でよく食べること(笑)。

日中メイクを保つには?

下地がとても重要。日本のように多湿な環境だったら、仕上げにセッティングパウダーをつけることが大事になる。パウダーは全面的につけると頰の艶が消えてしまうから、ポイントでつける。

体にもメイクアップすることはある?

日常的には勧められないけど、撮影の時にはすることがあるよ。写真写りのためだから、すごいことになるんだ(笑)。きょうはデコルテにハイライトを塗ったよ。

どうやって今の仕事にたどり着いた?

6年前にメイクアップアーティストを始めて、最初の1年はアリゾナのメイクカウンターで仕事をしていた。そこからロサンゼルスに引っ越して、インスタグラムにメイクルックをアップし始めたんだ。その頃はウエディングルックをすることが多くて濃いメイクはあまりしなかったんだけど、カーダシアン家のメイクを担当することがあって、もっと女優のメイクアップを担当したいと思うようになったんだ。

そこからどのようにチャンスをつかんだ?

女優が好きなメイクは軽めのものだったので、自分のメイクアップを変えないといけないと気が付いた。今はアーティストのメイクアップが増えたから、女優メイクと濃いメイクの間のメイクを目指して進化させているんだ。

思い出深い仕事は?

「ビクトリアズ・シークレット(VICTORIA’S SECRET)」のショーのメイクアップを担当したこと。小さいころからテレビで見ていたから夢のようだったよ。そして、3週間前に初めてリアーナと仕事したこと。思っていた以上に彼女は楽しい人で、感謝の気持ちでいっぱい。いい経験だった。

メイクアップアーティストになりたい人にアドバイスするとしたら?

1つは、インスタグラムを活用すること。自分の作品をきれいにアップしたり、何を投稿するか気を配ることが大事。そして人に優しくすること。そういうところをブランドはよく見ているし、いろんな縁を大事にすべき。

ブーツ不況の中 英「トリッカーズ」が青山店オープンで日本市場にあらためての船出

1829年創業の英国最古のシューズブランド「トリッカーズ(TRICKER’S)」は国外初となる店舗を4月25日、東京・青山の骨董通りにオープンした。運営は「ジャラン スリウァヤ(JALAN SRIWIJAYA)」や「アイランドスリッパ(ISLAND SLIPPER)」などを手掛ける、の輸入代理店ジー・エム・ティー(GMT、横瀬秀明社長)が行う。単独店舗は、ロンドンのジャーミンストリート店に続く世界2店舗目となる。オープンに合わせて来日したマーティン・メイソン(Martin Mason)トリッカーズ最高経営責任者(CEO)に話を聞いた。

optimize.webp (12)少し落ち着いたとはいえ、スニーカーのシェアは世界的に拡大しており、革靴、特にブーツは苦戦している。このタイミングで国外初のショップを日本に作る狙いは?

ランウエイでのスニーカーのトレンドは緩やかに落ち着き、今後トレンドは革靴に戻ってくると信じている。そのとき、“英国靴の聖地”と言われるノーザンプトンのモノ作りがとても重要になるはずだ。そして「トリッカーズ」はノーザンプトン最古のシューファクトリーだ。全ての靴が、その自社ファクトリーで生産される。成熟した日本のカスタマーには、「トリッカーズ」の靴から醸し出される歴史、ストーリー、モノ作りの哲学を理解していただいていると感じる。190周年を機に、もっとわれわれのことを知っていただければと思い、青山店のオープンに至った。

スニーカーを脅威とは感じていない?

optimize.webp (11)全く別のビジネスだと思っている。スニーカーは機械で大量生産され、われわれの靴は手作業で生み出される。グッドイヤーウェルト製法による「トリッカーズ」の靴は、アウトソールを替えれば何十年も履くことができる。実際、今日私が履いている“ストウ”も10年以上物だ。英国の職人が、英国の素材を使って作るわれわれの靴はとてもサステイナブルだ。“サステイナブル”は今、最も重要なキーワードであり、少し値は張っても良質なものを選択して長く履く(着る)ムーブメントが定着しつつある。

ジャーミンストリートに初の直営店がオープンしたのは1937年。80年の間にたくさんのチャンスがあったと思うが、なぜ今2号店のオープンとなった?

まずは市況が大きく変化したことが挙げられる。伝統的シューズも、今やECでいつでも手軽に買える時代だ。だからこそ優れたタッチポイントが必要だ。英国人の多くは、いまだに「トリッカーズ」を“アウトドアシーンで履く靴”と認識している。一方、日本は30年前に「トリッカーズ」をファッションアイテムとして初めてピックアップしてくれた。その後、その流れは世界に広がった。日本にはとても感謝しているし、2号店オープンの場所に選ぶことは必然だった。もちろんGMTの協力も欠かせなかったし、190周年の節目というのも後押しした。今後は海外店舗戦略を加速させる。3号店はおそらく韓国、そのあとに米国や中国にも出店したい。

完成した青山店を見た感想は?

「素晴らしい!」のひと言だ。ジャーミンストリート店と見紛う完成度で、横瀬GMT社長がロンドンの店に足を運び、あちこち計測してくれた結果と言える。入り口の上のノーザンプトンの紋章とロイヤルワラント(英国王室御用達)の紋章は、ノーザンプトンの工房で作りシッピングした。フィッティングチェアも横瀬社長の求めに応じて、ジャーミンストリート店で使っていたものを譲った。きれいに修復してくれて、うれしい。忠実に1号店を再現しつつも、日本らしさもプラスしていて感嘆した。

「トリッカーズ」における日本のシェアについて聞きたい。

売り上げ1位は英国だが、それに続くのが日本市場だ。輸出の80%を占める。以下イタリア、米国、韓国と続く。

日欧EPAにより、靴も関税が漸次撤廃される。同時に、英国は合意なきEU離脱の可能性もある。「トリッカーズ」への影響は?

まず日欧EPAによる影響は、それほどないと考えている。EU離脱についても、“合意なき離脱”はあり得ないと信じている。時間はかかるかもしれないが、ゆっくりと問題は解決されるだろう。良識ある英国の経済人は皆、そう思っている。あくまで政治的な問題であり、経済的な問題とは別なので。

ずばり、ブーツが復権する秘策はある?

「トリッカーズ」については“まだ”だが、ブーツはすでに復調傾向にあると思う。イタリアでは“モールトン”や“ストウ”など、「トリッカーズ」を代表するカントリーブーツが売り上げを伸ばしている。特効薬はないが、上質なクラフツマンシップを提供し続けることで前進を続けたい。

藤原ヒロシ×上野伸平対談後編「ストリートは終わらない」

1980年代——。今でこそ、「シュプリーム(SUPREME)」は大人気ブランドになったが、日本ではまだまだスケートボードがアンダーグラウンドなカルチャーだった時代。そんな初期のスケートボードにどっぷりハマった藤原ヒロシらによって、その後、アングラだったカルチャーが表舞台に押し上げられることになる。一方で、上野伸平はアングラから叩き上げのストリートスケーターの一人だ。このほど、虎ノ門にオープンしたスケートパーク「キューコン(QUCON)」の中心メンバーでもあり、藤原の携わる「モンクレール Tシャツ コピー ジーニアス(MONCLER GENIUS)」のプロモーションムービーも手掛けた。お互いを知っていながらしばらくは“一方通行”だったという2人が意気投合し、オープンニングには「フラグメント デザイン(FRAGMENT DESIGN)」とのコラボアイテムも並んだ。今回は、コピーではなく自分のオリジナルを発してきた新旧スケーターによる対談の後編。(前編はこちら)

optimize.webp (2)ヒロシさんは何歳からスケートボードを始めたんですか?

10歳ぐらいかな。

辞めた理由は?

辞めたって感覚もないんだけどね。ずっとスノーボードをしながら、たまにスケートもやってたり。辞めるっていう決意はしていないけど、やったら絶対ケガするなとか。

昔もこういったパークはあったんですか?

あまりなかったと思うよ。

NYの街で初めてスケートした日本人って藤原さんたちだって聞きましたよ?

optimize.webp (1)初めてかどうかはわからないけど、NY以外にもロンドンとか。日本人でスケートボードを持ってスケートショップとかに行くとちょっと変わって見られるというか、一緒に滑ろうという流れになる。そういうマイノリティーの楽しさみたいなのが80年代にはあったね。

今、そのマイノリティーはありますか?

もうないんじゃないかな?マイノリティーが存在しないから、もし彼らのアンダーグラウンドの世界でマイノリティーみたいなものが存在したら、それは美しいと思う。

上野:それももうなくなってきています。僕らの世代で最後じゃないですか?いい意味でも悪い意味でも広くなったんで……。

スケートブランドも一般的に広がりましたね。

上野:それってスケートカンパニーのカッコよさを、スケートを知らない人も体感しているということだと思うんです。スケートをしてなくても彼らの精神とかが伝わって。

ヒロシさんは最近のスケートシーンやストリートシーンを見てどう思いますか?

スケートはそんなに知らないんだよね。「T19」(1984年に設立したスケートボードチームで藤原も在籍していた。92年に日本初のデッキブランドをスタート)の大瀧(ひろし)君が亡くなって、最近はそのチームとも会ってないし、スケシン(スケートシング)やYOPPI(江川芳文)とかはよく誘ってくれたりするんだけど、結局あんまり行けてない。スケートボードってめっちゃかっこいいから今でもしょっちゅう見るんだけど、自分に置き換えるとこれ絶対ケガするなっていうか。軽く滑るだけだからって言っても、行ったら絶対なんかやっちゃって、捻挫とか骨折とかしそうなのが目に見えてる。

上野さんもケガしたりしますか?

上野:めっちゃしますよ。捻挫とかしょっちゅう。肩の骨が飛び出したりとか(笑)。

僕も若い頃はそれでも全然平気だったんだけど。

それでも続けるスケートボードの魅力ってなんでしょう?

上野:やっぱり快感じゃないですか?

うん、楽しい。メイク(技)したりだとか。0から始まって、わりと難しいからやりがいもある。

上野:スケボーが怖いという人には向いていないと思うけど、怖さの先に達成感がありますよね。大人になって道路で吹っ飛ぶくらいコケることってスケボーやってないとないですよ。

全然関係ないところでウィールが引っかかってこけたりね。痛い以上に恥ずかしい。

上野:特に一人のときとか(笑)。

ヒロシさんはキューコンにどういう面白さを感じたんでしょう?

場所的にも原宿や渋谷と違ってあんまり来ない場所だし、どういう人がここに来るのか楽しみ。かっこいいパークって遠くても行ったりするから、僕が若くてスケートボードをしていたら行っていたかな。

ではここがカルチャーを発信する場所になるかも知れませんね。

できたら面白いと思うけど、彼らにかかってる。ただ、スケートボードがそんなに新しいカルチャーでもないから。紆余曲折のあるカルチャーだし、流行ってダメになってダメになって流行って、の繰り返し。なおかつ今度オリンピックの競技にもなって、表向きには流行るけど、アンダーグラウンドはどうなるかな。流行った後は落とされるだろうし、マイケル・ジャクソンみたいなもんだよね(笑)。

上野さんは将来、スケートカルチャーをどうしていきたいですか?

上野:俺は本当にスケーターの環境整備がしたいんですよ。マジで滑れるところがないんで。どこで滑っていても警察や警備員が来るし……。かと言ってパークで滑りたいわけでもないんですけど。

そこがやっぱりギャップがあるところだよね。「スケートボードを街でやっちゃダメ。こんなにいいパークを作ったからここで滑ろ」って言われても「そんなところで滑りたいわけじゃない」っていう人たちが僕は好き。だからパークができたからもうストリートで滑れなくてもいいやって人には全然興味ない。街でダンスをやっている人たちはかっこいいと思うけど、授業でダンスをやっている人は好きじゃないし、そういう温度差がある。

上野:一番いいのは、基本的なスペックをパークで高めて、上手くなればストリートで滑る。上手くなれば2発とかでメイクできるからある意味、警備員が来る前に逃げられる。アメリカでは、マジでそういうスタイルなんです。パークもたくさんあるので、どんどん上手くなるし。それでもやっぱりストリートの魅力ってあるから、パークが増えてもストリートは無くならない。

ヒロシさんは今だにスケートのビデオとか観るんですか?

全然観るよ。一番観るかな。ストリートのものも競技っぽいのも。オリンピックのスケートボードもけなしているわけじゃなくて、それはそれですごいことをやっているからね。

何かオリンピックのスケートボードのことで依頼があるかも知れないですね。

「これは自然発生的に生まれたプロジェクト」 ジャン・コロナが「デルヴォー」のアイコンバッグをアップデート

ベルギーの老舗レザーグッズブランド「デルヴォー(DELVAUX)」は2019年春夏シーズンに、90年代に高い人気を誇ったデザイナー、ジャン・コロナ(Jean Colonna)とコラボレーションしたバッグ“レックス エックス エル(L’XXL)”を発売した。ベースとなるのはアイコンバッグの“ブリヨン(BRILLANT)”。クラシカルなワンハンドルのフラップバッグをコロナは巨大化させ、ソフトレザーを用いることで、柔らかでカジュアルなバッグに仕上げた。

optimize.webp (8)今回のコラボは「自然発生的に生まれたプロジェクト」だと、10年ぶりに来日したコロナは説明する。「例えるなら、パーティーに行ってとある人物と出会い、なぜかは分からないが意気投合してお茶の約束までしてしまうようなイメージ。何の狙いも戦略もダブルミーニングもない。そんな感じだった。『デルヴォー』は確かな価値の上に価値が積み重なっていて、それが私を引き付けた。だから、私から『バッグを作りたい』と持ち掛けたわけでもなく、その逆も然りだ。“ソフトでビッグなバッグ”が私の頭にふと浮かんだから、それをジャン・マルク・ルビエ(Jean-Marc Loubier)会長兼CEOに雑談の中で伝えたところ、彼は『考えてみるよ』と言って、数週間後に返事があった。私は返信さえも期待していなかったが、そこからとんとん拍子に話が進み、このバッグが誕生した」。

ベースとなった“ブリヨン”は、自立するスクエアのフォルムが特徴の一つだが、対照的に“レックス エックス エル”はソフトレザーを使用し、あえてくたっとしたバッグに仕上げた。これについてコロナは「そもそも“ブリヨン”を念頭に置いてバッグの構想を考え始めたわけではない」と話す。「なんとなくソフトなビッグバッグが頭の中に浮かんだ。そのバッグのファンクション(機能)の一つとしてバックルは必須だなと考えていた。そんなときに“ブリヨン”のバックルを見て、『何カ月もかけてバックルを開発するよりもこのバックルを使えばピッタリなんじゃないか』と思ったんだ。そこで初めて“ブリヨン”をベースにすることになった。“レックス エックス エル”のバックルは、“ブリヨン”のバックルをより太く、重くした。そうすることで、物が中で動かないようにバックルをストッパーのようにも使えるようにした。ソフトレザーだから形も既存の“ブリヨン”とは大きく異なるが、それでも“レックス エックス エル”を見てみんなが『“ブリヨン”だね』と言う。ということは、私のデザインと『デルヴォー』のストーリーがうまく融合できたということだ」。

今回のデザインを考えるにあたり、コロナはまずキーワードを書き出したという。「今回は、1.デルヴォーをリスペクトする、2.ストラップがないこと、3.子孫に残せるものにすること、4.トレンドに捉われないことなどがポイントだった。また、最適なプロポーションバランスを見つけることや、ラグジュアリー感を保つこと、そして少しだけ新しいテイストを入れるために試行錯誤を重ね、完成までに6カ月以上を要したという。「完成形はすでに頭にあったし、『デルヴォー』の優秀な職人は、私の思い描くものを理解して高い再現力を発揮してくれた。彼らから学ぶことも多かったし、お互いが対等で、先生であり生徒だった。もちろん互いにリスペクトした。リスペクトすることは仕事における成功の秘訣だ」。

昨今、“コラボ”は売れるためのカギともいえる。しかし、タグはおろか商品名にも“ジャン・コロナ”の名前は記されず、説明を受けなければコラボ商品だということが分からない。その理由を「これはあくまで『デルヴォー』のバッグだから」と当然のようにコロナは言う。「今回のプロジェクトにおいて、私が最も重要視したことは所有者とバッグの関係性だ。『私は高価なバッグを持っています』『私は〇〇のバッグを持っています』といった見えを超越した関係を所有者とバッグの間で築いてほしい。だから余計な情報は必要なかった」。

事実、コロナはインタビュー中も“レックス エックス エル”にたくさんの荷物を詰めて足もとに置いていた。「私は今回の旅にこのバッグを持ち歩いているが、床に置くし、たくさん物も詰め込む。それが私とこのバッグの関係で、それは私とこのバッグだけのユニークな関係性だ。“美しいだけ”のバッグじゃない。アティチュードを持っていて、それがクールなんだ」。