ゆうこすが明かすSNSの極意、バズる秘けつは“タグ映え”だ

180411_yukosu_10.webp簡単にアプリが制作できるサービス「ヤプリ(Yappli)」を提供するヤプリが12日、ECやアプリの現状を伝える業界向けのイベント「MOBILE MARKETING UPDATE」を開催し、基調講演としてSNSで話題のゆうこす(菅本裕子)が登壇した。

元HKT48のアイドルで、現在“モテクリエイター”という肩書きで活躍するゆうこすだが、モデルとしてだけでなくブランドとコラボした商品作りや商品の買い付けとライブ販売など、いわゆる“インフルエンサー”としてビジネスを成功させた先駆者ともいえる。しかし、成功の裏にはHKT48卒業後に個人で全く売れない“ニート時代”を経験したという背景があるという。「卒業後、とはいえアイドルなんだから個人になってもファンが来てくれるだろうと甘く考えていたんですが、初の個人イベントにお客さんが3人しか来ないという事件がありまして……(笑)。そこで初めて『これはまずい』と気付きました」と当時を振り返る。こうした経験からSNSを駆使して2016年8月に起業、自らのプロデュースを始めたという。

ゆうこすはSNSで成功した秘けつを一言で「共感」だという。「私は個人になっても当初グラビアで売り出すなど、典型的な“男性向け商材”でした。でも、これでは消費されるだけで、拡散されてファンを増やすことはできないと気付きました。そして、拡散されるためには共感がなければいけません。誰に共感してもらえるかを考えた時に“ぶりっ子したいけど周りの目があってできない人”だと考え、彼女らに向けて発信していくことに決めました」と話す。方向性を見つけて約2年、現在のインスタグラムのフォロワーは78%が女性、ユーチューブにいたっては97%が女性というから驚きだ。

講演では、そんな彼女が経験をもとに見つけた“共感される発信”を実現する以下の4つのキーワードを公開した。

「情報があるからこそ、フォローにつながります。ファンでなくても見たい投稿かどうか。私は投稿ごとに平均2000文字くらいのテキストをつけますが、見る意味があるからこそ共感してもらえるんだと思います」

「アニメ『ポプテピピック』がこれほどバズったのは、めちゃくちゃニッチなアニメのパロディーをやっているからです。作中でなんの説明もない分、一部のマニアが何のパロディーなのかをSNSで勝手に拡散し、有名になりました」

「最近ではタニタやシャープのツイッターアカウントの“中の人”が話題ですが、企業でも芸能人でも、そこにいるのは人間なんだよということをアピールします。一部の人から炎上した時に『芸能人なのに落ち込むの?』ということを言われて驚きましたが、“人間味”をアピールすることで応援したくなる場づくりができるはずです」

「新しい事業を思いついても、『自分がやる意味はあるのか』ということを考えます。私は自分で芸能事務所を立ち上げましたが、これもアイドルを経て挫折があったからこそできた事業だと思います。たとえば「ベイク(BAKE)」の自社メディア「ザ・ベイク・マガジン(THE BAKE MAGAZINE)」では社長の失敗談まで載っていて、こうした話があると共感力も最大限になって、応援につながります」

こうした取り組みを通じて、ゆうこすは“共感されるネットビジネス”を実現した。旅先で見つけた商品をライブ販売する「タビジョン(TaVision)」では、一晩で100万円の商品が売れ、オリジナルコスメは20分で500個が完売するほどの勢いだ。「芸能人だから売れるんじゃないかと言われますが、決してそうじゃない。“買ってどれだけメリットがあるか”“ストーリー性があるか”“リアルタイムかどうか”ということを意識して、販売をすることが成功の秘けつなんです」と強調する。ネット販売で同様にビジネスを成功させた例として、自身でブランドを立ち上げたハヤカワ五味を挙げ、「彼女の投稿には一見ダサく見えるような文字がたくさんありますが、これがあることで気軽にリツイートできるんです。オシャレな画像だけだとリツイートする時にファンに説明してもらわなくてはいけません」と、彼女なりのノウハウを明かした。

最後に“本当は教えたくない写真のバズらせ方”についても言及。「みなさん『タグる』という言葉をご存知ですか。ハッシュタグで検索することです。今の若い子たちはなんでもハッシュタグで物事を調べていて、例えばバイト先にどんなお客さんが来るかも調べるし、旅行先の天気だってタグで検索します。だから写真を投稿する前に、『誰に見てほしくて、彼女らはどんなハッシュタグを調べそうか』ということを考えて、そのタグに合った写真を撮影します。その際に重要なのは『同じハッシュタグの一覧の中でいかに目立つ写真か』ということ。写真が良いことはもちろんですが、これからは“インスタ映え”ではなくて“タグ映え”するかどうかです」と強調。会場にいるアパレル関係者からは感嘆の声がもれ、大盛況の中で基調講演を終えた。