ゴールドウインが今、オリジナルブランドに注力する理由とは? 日本のザ・ノース・フェイスを育てた渡辺貴生社長に聞く

「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」や「カンタベリー(CANTERBURY)」「ヘリーハンセン(HELLY HANSEN)」といったアウトドア・スポーツの定番ブランドを数多く抱えるゴールドウイン。ライセンスブランド事業が目立つが、社名と同名のブランド「ゴールドウイン(Goldwin)」の拡大に今力を入れている。アンタークティカパーカー 偽物その取り組みの一つとして、新プロジェクト「Goldwin 0」を今月発表した。ライセンスブランドが好調の中、いまオリジナルブランドに注力する狙いとは? 渡辺貴生社長に聞く、ゴールドウインの現在地。

ゴールドウインはスキーウェアをルーツに持つ。スキーが流行した1990年代にマーケットを盛り上げたが、その後日本では市場が縮小。一方でザ・ノース・フェイスはバルトロジャケットを中心にヒットを生み出し、「シュプリーム(Supreme)」やコム デ ギャルソングループのブランドとコラボレーションを展開するなどブランドビジネスとして成功を収めている。そのザ・ノース・フェイス事業を長年にわたり手掛けてきたのが渡辺社長だ。

ゴールドウインはザ・ノース・フェイスを筆頭とするアウトドアブランドの好調を背景に、コロナ前の2020年3月期まで10期連続の増収、営業利益は12期連続の増益を達成。ザ・ノース・フェイスでは近年、マタニティ商品を充実させるなど拡充を図っているものの、渡辺社長は「ザ・ノース・フェイスは日本と韓国では商標権を持っているが、その他の国では自由に販売できないというテリトリーの問題がある」とライセンスブランドならではの制約を課題にあげる。そこで次の成長の柱の一つとして着目したのがオリジナルブランドのゴールドウインだという。

そのゴールドウインの新プロジェクトとなるGoldwin 0では、気候変動問題の解決と持続可能なビジネスの再構築を図りながら2つのサステナビリティに向き合う長期ヴィジョン「PLAY EARTH 2030」に基づき、カテゴリーやレーベル、国境を越えた機能的な衣服を開発。「循環」を前提としたビジネスモデルやプロダクトを模索する実験的プラットフォームと位置付け、サステナブルなアイテムなどを打ち出す。

ファーストコレクションは約20型を展開。いずれも環境に配慮した素材を取り入れ、コレクションのうち5型はスパイバー(Spiber)の人工タンパク質「ブリュード・プロテイン素材」を使用した。デザイナーには「ルメール(LEMAIRE)」などでニットを中心にデザインを手掛けてきたジュリア・ロドヴィッチと、デジタル上でのアパレルデザイン開発を得意とするジャン=リュック・アンブリッジを招へいし、アーティストも交えたブランドチームで運営する。

表現するのは「Circulation(循環)」「Borderless(無境界)」「Co-Creation(共創)」という3つのキーワード。プロジェクトのアイテムはスキーウェアとしてもデイリーウェアとしても着られる、まさにボーダレスなアイテムに仕上げたという。「ゴールドウインという企業ブランドを世界中に伝えていくには、スキーをコアにしながら、アウトドアやアスレチック、ライフスタイルをミックスしたブランドにしていく必要がある。ファッション業界でもスポーツやアウトドアとの境界線がなくなってきている。その中で我々はゴールドウインをスポーツウェアという従来のカテゴリーに閉じ込めず、素材からデザイン、部品までの先端的な開発力を活かしてファッションも機能もトップレベルを目指す」。ファッション性を訴求する取り組みとして、今月開かれた「Rakuten Fashion Week TOKYO 2022 A/W」にも参加した。

「循環」を前提としたGoldwin 0はゴールドウインブランドとしてだけではなく、「無駄のないものづくり」というゴールドウインの企業としての姿勢を強く訴求し、同社としても重要なプロジェクトと位置付ける。製品開発ではザ・ノース・フェイスを率いた時代にデザインも手掛けてきたという渡辺社長も携わった。

プロジェクトで目指すのは「人種、ジェンダー、国境といったみえない境界線や壁を乗り越えてみんなが称え合う世界」の実現に向けて、業界や社会全体が動いていくための契機となること。経営には売上や利益などの定量的な成果が求められるが、渡辺社長は「短期的な売上、近視眼的な経済合理性の追求を見直したい」と語る。「機能商品はアウトドアであっても都会であっても無駄がない。これが愛着のある、飽きないデザインであれば長く使えるし、余分なものを買わず、ロスを減らすことにつながる。そういったものづくりが伝われば、製品のアイデンティティ、そして会社のアイデンティティがはっきりする。会社のアイデンティティを伝えることができるのはオリジナルブランドだけ。だから私はゴールドウインにこだわる。安易なコラボもしない。世界のどこのスポーツアパレルよりも美しく、機能的で耐久性が高く、考え抜いた製品を提供している会社であることを伝えたい」。

渡辺社長がゴールドウインのトップに就任したのは、同社が創業70周年イヤーを迎えた2020年4月。同社としては20年ぶりのトップ交代となった。ザ・ノース・フェイス事業部在籍時の30年前にリペアサービスを立ち上げるなど、サステナビリティにいち早く着手してきた同氏。昨年10月に発表した長期ヴィジョン「PLAY EARTH 2030」は、社を挙げて取り組む施策とする。ライセンスブランドはあくまでも「天井が見えているわけではない」とし、事業の強みを維持しながらオリジナルブランドを筆頭にサステナビリティの取り組みを強化し、企業のアイデンティティを体現していく。2026年3月期を最終年度とする新中期経営計画では、最終年度売上高1250億円、営業利益210憶円を目指す。

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